MOSES プログラム の目的

てんかんに関する情報は書籍やインターネットにあふれています。でも何が大切な情報なのか、何からはじめれば良いのか、誰に聞けばよいのか…そんな悩みをもつ人に MOSES はお手伝いをします。
MOSES(MOdular Service package EpilepSy) は、てんかんのある人が、病気をもつ他の人やトレーナーと意見交換をしながら、病気についての知識、病気と向き合う方法について学ぶプログラムです。小さなグループで行いますので、気兼ねなく、わからないことを尋ねることができます。
MOSES プログラム は9つのテーマ(モジュール)から成り、テキストに基づいて、順を追って理解を深めながら、病気の原因、診断、予後、治療、対処方法、日常生活、社会生活、資格、制度などの重要な情報を学んでいきます。MOSES は、 ただ単に知識を深めるだけでなく、てんかんという病気のある人がてんかんとのつきあいにおける自立したエキスパートになり、できるだけ制約の少ない生活を送れるようにお手伝いをすることが目的です。
MOSES プログラム に参加した人は、病気についての質の高い情報を持ち、病気とうまく向き合うことができ、さらに発作が減り、薬の副作用に悩むことも少なくなったことが、科学的に証明されています(May らの論文、2002年)。
MOSES プログラム は、1998年よりドイツ語圏ではじまり、世界の多くの国に広がりつつあります。

MOSES トレーナーとは?

MOSES プログラムを行うのはトレーニングを受けた医療スタッフです。医師、看護師、作業療法士、心理士、ソーシャルワーカー、脳波技師など、実際にてんかんの診療に一定期間携わったことのある医療スタッフがトレーニングを受講し、トレーナーとしての資格を得て、病気のある人の講習に当たります。トレーナーは、MOSES プログラム実践の技術と知識を深めるため、定期的に再研修を受けます。

MOSES に関する文献

  • 井上有史、西田拓司、大谷英之、須賀裕輔。MOSES/famosesとは?  波(日本てんかん協会) 2020;44(5): 104-111.
  • 山﨑 陽平, 西田 拓司, 井上 有史。てんかん患者学習プログラムMOSES(モーゼス)の有用性に関する予備的調査。てんかん研究 35: 702-709, 2018
  • 西田拓司. 患者教育: 患者学習プログラムの実践. てんかん研究 31: 534-535, 2014.
  • Rupprecht Thorbecke先生インタビュー:てんかん教育プログラムMOSESについて。Epilepsy Vol.7, No.2. (2013), 145-152
  • 西田拓司。第1回国際MOSES トレーナー研修報告記。Epilepsy Vol.7, No.2. (2013), 153-157.
  • May TW, Pfaefflin M. The efficacy of an educational treatment program for patients with epilepsy (MOSES): results of a controlled, randomized study. Modular Service Package Epilepsy. Epilepsia. 2002 May;43(5):539-49.
  • Ried S, Specht U, Thorbecke R, Goecke K, Wohlfarth R. MOSES: an educational program for patients with epilepsy and their relatives. Epilepsia. 2001;42 Suppl 3:76-80.
  • Kralj-Hans I, Goldstein LH, Noble AJ et al. Self-Management education for adults with poorly controlled epILEpsy (SMILE (UK)): a randomised controlled trial protocol. BMC Neurology 2014, 14(1):1-8.

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